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紅色の光翼種

補間6


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 あおぞら荘に閉じ込めたルミナス。けれど、彼は彼であって彼ではない。そんな状況で、彼を取り戻す方法が思いつかず、アクラは盛大にため息をついた。
「方法なんて全然思いつかない。そもそもルミナスって、そんな力持ってた?」
「それを私に聞くのは間違っている」
「だよねぇ……」
 そういった記憶を綺麗さっぱり無くしているコールに尋ねたところで、答えが帰ってこないことは分かっていたが、学術的な方面で答えられやしないかと少しだけ期待した。
 その期待も、すぐさま打ち砕かれてしまったわけだが。
「魔法力とやらを私は吸収できると聞いたが、その方法では駄目なのか?」
 コールは自分の手をまじまじと見つめ、問うようにアクラに視線を移す。
「そんな事してコールに何かあったら、それこそボクがルミナスに合わせる顔がないよ」
 はぁ…と、音に出して分かるほどのため息をついて、そのまま二人は黙り込む。正に八方塞だ。
 ふと、思い出したようにコールは顔をあげ、アクラに問いかける。
「あれは、どういう状況だと判断すればいいだろう」
「そうだね……」
 死んでしまったのなら――いや、肉体が無くなったのなら、魂は世界樹へと一旦還るはずだ。ヘリオールとてそれは例外ではないはず。ならば、ルミナスが彼のように振舞うのは、脳に彼の性格を植えつけたから? それとも、本当に魂ごとルミナスの中に吸われてしまった? どちらにせよ真意は直接本人に聞くしかない。
「とりあえず、やるというか、やらなきゃいけない事は……」

 ルツーセを助け出す。
 ルミナスからヘリオールを引き剥がす。

 多分、ヘリオールを引き剥がす事が何よりも難しいだろう。
「ルミナスを目覚めさせる事が出来たら」
 軽く呟いてみたものの、それがとても難しい事だというのも分かっている。コールの時は、本という媒介があったからできた芸当だ。
「困っているようだね」
「ウィズ・スカーレット!?」
「あんたがしたいと思う事を実行するためのアーティファクトくらい、あたしがこさえられるさ」
 それには、本当に少しだけ時間が欲しい。出来うるならば、翠の力も借りたいが、今いないものは仕方がない。
「よろしくお願いします!」
 あのアクラが敬語で紅の賢者に頭を下げる。
 紅の賢者は、どこか申し訳なさそうな、寂しそうな淡い笑顔を浮かべて、ふっと言葉を吐いた。
「あの子を最初に独りにしてしまったのはあたしかもしれないね。同じ、光翼種だと言うのに……」
 種族としての記録を終わらせ、神だなんて祭り上げられても、動力を変換するためだけに存在する態のいい生きた贄でしかないのに。
 そう――光翼種とは、“神”として“世界”への生贄になるためだけに庇護された存在。
 紅の賢者は、そうなるよう“育てられた”ヘリオールが居る事で、光翼種としての力を封じて生きてきた“人”族。
 彼が狂ったと同時に生まれた夢馬が自分のところへ来たのは、きっと偶然ではなかった。
(嫌な偶然だ……)
 元々殆ど繋がっていなかった縁が、夢馬という存在が生まれただけで、こうも簡単に結ばれてしまった。
 これで、彼が完全に消えたあの世界はどうなるだろうか。
 哀しみも同情もない。

 ああ、これでやっと終わるのだ。

 紅の賢者は静かに思った。

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